ワイ氏とエム氏の世迷言

雑記だったり、日記だったり

宗教の甘い罠

The Honey Trap

これは、私が実際に体験した話です。

 

大学卒業後、約2年間の暗黒時代(俗称:ニート)を過ごしていた私は、自堕落な暮らしに焦りを感じ、遅過ぎる就職活動を始めました。そして、縁あって紹介予定派遣という形でとある会社で働くことになりました。社員は社長を含めて5人という本当に小さな会社でした。

 

片道約1時間の通勤時間、1日8時間のフルタイム労働、休日は日曜祝日のみという労働環境は、昨日までニートだった人間にとってそれなりに過酷なものでした。そして何より、仕事がなかったのです。

 

「仕事、どう?」

 

心身ともに疲弊していた頃、声をかけてきたのは先輩社員であるA子(決して美人ではない)でした。

A子は他の社員に聞こえないような小さな声で言いました。

 

「ねぇ、連絡先教えて?今度ご飯でも行こうよ。」

 

私はA子と連絡先を交換し、次の日曜日に食事の約束をしました。

 

日曜日。待ち合わせ場所は会社の最寄り駅でした。

A子と私は駅前にあるファミレスに入りました。

当時の私は人生初めて経験する“社会人”の日々に、少しネガティヴになっていたんだと思います。うんうんと話を聞くA子に、つい私も愚痴にも似た話をこぼしてしまいました。

一通り話を聞き、A子が言いました。

 

「じゃあさ、いい方法があるんだけど。何でもうまくいく“おまじない”。知ってる?教えてあげよっか?」

 

笑顔のA子。

私は、おまじないなんて女子っぽいなーなんて思っていました。

A子は続けました。

 

「毎朝富士山の方角を向いて、手を合わせて、“南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経”って唱えるの。」

 

笑顔のA子。

私は、場の空気が変わるのを感じました。

 

A子は鞄から新聞を取り出し、テーブルの上に広げました。そこには被災地(当時は、東日本大震災から数年が経つ頃でした)に建つ1軒のアパートの写真が載っていました。

 

東日本大震災ってあったでしょこのアパートの周りも被害を受けたんだけどこのアパートのこの部屋の人は毎日南無妙法蓮華経南無妙法蓮華経って唱えてたから家の中も何も被害がなかったんだって隣の部屋の人は」

 

笑顔のA子。

その新聞は某宗教団体が発行する機関紙でした。

 

「ね書いてあるでしょ大聖人様が」

 

1行1行指でなぞりながら読み上げ始めるA子。昼間のファミレスにはおおよそ似合わないその異様な光景に、明らかに引いている隣席の客。時間とともに饒舌になるA子の話を止める術はありませんでした。

 

「きょうさたまたまちかくのかいかんでびでおほうえいかいやってるからいっしょにいかない」

 

(クソが!)

 

私は「この後、友人と予定がある」の一点張りでファミレスを出ました。駅へ急ぐ私の横でも、A子は最後まで「南無妙法蓮華経」「大聖人様」という言葉を繰り返していました。

 

今思えば、貴重な休日にわざわざ片道約1時間かけてまで食事に行くなんて、下心があったと思わざるを得ません。当時の自分自身を恥じるばかりです。

 

これが、私の体験した話です。

 

あの時、もしA子について行っていたらどうなっていたのでしょう。

 

宗教に限らず、興味がないものをしつこく勧めてくる(強要してくる)ような人間とは関わらないほうが無難です。特に弱っている時には気を付けてほしいと思います。

 

ところで、いいビジネスの話があるので、興味のある方は是非コメントを頂ければと思います。

なんて、冗談です。

 

では。