ワイ氏とエム氏の世迷言

雑記だったり、日記だったり

某宗教団体

統一教会が話題となっているが、私もその昔とある宗教団体から不愉快な勧誘をされたのでここに記そうと思う。

10年程前のクリスマスにそれは起きた。

当時私は無職で実家暮らし。

母親の路傍の糞でも見るかのような視線に耐え切れず、繁華街を彷徨っていた。

クリスマスと言うこともあり、街は浮かれカップル共で溢れ返っている。

ここにも俺の居場所は無いのか…と歯茎から血が出る程噛み締めていると後ろから「すみません」と声を掛けられた。

初めはその声が誰に向けたものか分からず、まして俺に声を掛ける者など1人も居ないと腐り切っていた為無視して歩き続けていると「すみません」ともう一度声を掛けられた。

どうやら俺に話し掛けているらしい。何だ?財布でも落としたか?そうぼんやりと考えながら振り返ると1人の可愛らしい女性が立っていた。

まるで「バスケットはお好きですか?」と聞かれ兼ねない状況に内心トキメキながら、努めて平静に装い「どうしました?」と答えた。

「実はアンケートを取っておりまして…」

冷静に考えるとクリスマスにアンケートなんて取るか?と思うのだが、当時の俺は母親以外の女性に声を掛けられたことに明らかに舞い上がってしまい美人局かも知れないと内心訝りながらも「何でもお答えしますよ!」(ニッコリ)と返答していた。

それから暫く道端で話を交わすと、彼女の方から「良かったらお茶が飲める所に行きませんか?」と誘ってきた。どう考えても可笑しな話だが、当時の俺はクリスマスの女って何て積極的なんだ!!としか考えず「行きます!」と二つ返事した。

「美味しい所があるんですよ」

彼女の案内に従い繁華街を抜けると○○会と書かれた怪しげな建物の前で

「ここの2階です」

と彼女は言った。

正直この段階であれ?と若干思い始めていたのだが、雨の日にずぶ濡れになった僕にそっと傘を差し伸ばしてくれた彼女(妄想)を信じようと覚悟を決め2階に向かった。

そこは殺風景な事務所のような場所が広がっていた。

近くにあったソファに腰を掛けるように促され「コーヒーか紅茶どちらがいいですか?」と聞かれたので「紅茶でお願いします」と答えると彼女は給湯室に消え、奥から2人の男女が現れた。

その男女は「僕達人類にとって1番幸せなことって何だと思います?」と急に問いかけてきた。

「可愛い姉ちゃんと紅茶を飲むことです」と俺が答えると、失笑しながら「違います。結婚して子孫を残すことです」と一蹴された。

それから1時間程その男女は俺に、結婚して子供を産むことこそが○○神に出来る唯一の恩返しなのですと説いてきた。

神?恩返し?俺は唯可愛いあの子とお茶をする為にここへ来たのに、一体何の話をされているんだ?と言うかあの姉ちゃんはどこ行った?紅茶淹れるのに何時間かかってるんだ?と段々怒りが湧いてきた。

俺の怒りを他所にその男女は延々と同じ話を繰り返している。

どうにか水を差したくて俺は一つの疑問を投げかけてみた。

「俺の友達にゲイが居るんですが、そう言う人はどうすればいいんですか?」

すると男女は顔を見合わせてまたしても失笑しながら「そう言う人は論外です。もしかして貴方もそうなんですか?笑」と聞いてきたので、堪忍袋の緒が切れた私は「俺は目に見えない○○神より目に見えるゲイを信じます」とだけ言い残しその事務所を飛び出した。

後になってその事務所を調べるとまあまあ有名な宗教団体だと言うことが分かった。

俺を誘った姉ちゃんはきっと今も俺のように1人寂しく歩く男に声を掛けてはあの事務所に誘っているのであろう。

もう既に姉ちゃんの顔など忘れているのでまた引っ掛かりそうで怖い。